“経営支援”と聞いて
“経営支援”と聞いて
“経営支援”と聞くと、
「ハードルが高く、大変そうだ」
「そこそこうまく経営できているため不要だ」
「そもそも立上げ間もないためそんな余裕はない」
みたいなイメージを持たれる経営者様がいらっしゃると思います。しかし制度を理解する人間からすると、こんなに簡単に利用できて、国の金銭的な支援もある、”経営支援”を使わないなんてもったいない!といった気持ちです。
また、「定期的」な経営支援は会社経営に不可欠で、怠っていると会社の資産(従業員・伝統・社長自身。。。)を失ってしまうおそれもあります!
“経営支援”は少しイメージを下げて、「日々の経営で気になったことを少しだけ話してみよう」といったモチベーションで十分に対応できます。
当投稿では“経営支援”の具体的な内容をお伝えさせていただければと思います。
「定期的」な経営支援の必要性
最初に「定期的」に経営支援を受けないことは会社の資産を失うおそれがあると書きました。
言い過ぎだろうと思われるかもしれませんが、それはたまたま自分の会社が(窮境に)当たらなかっただけで、世の中の会社を見ると外部からの経営支援の目をいれなかったことで、多くの会社が経営困難な状況に陥っていると思います。
中小企業の社長様は人員不足であることや、マルチタスクになるといった性質上なかなか経営の隅々まで目が届かないことがあり、また、現状はよくても将来の予期せぬ状況に備えた対応が不足しがちになります。これにより、採算管理や資金計画などに綻びが生じ、これを放置、または是認してしまうことで、徐々に経営は悪化していきます。このため、”経営支援”により専門家の目を定期的に入れることで、会社を多方面から網羅的に点検することができ、経営悪化の防止につながります。
イメージしやすいように書けば、”経営支援”とは人間ドックのようなものと考えられます。ある程度健康であったとしても、定期的な検査を行わないと癌のような悪性物質が体を徐々にむしばんでいき、体を悪くします。これを予防・発見するために定期的な人間ドックがあります。これと同様、目が届きづらい又は専門性が高い領域に関しては、「定期的」に専門家の経営支援が必要になると考えます。
事業再生による経営支援
経営支援を受けなくても事業が回復することはあります。それが事業再生によるものです。
例えば、有名な事例でいえば、日本航空㈱(以下JAL)が挙げられます。’08年のリーマンショックにより一気に経営破綻まで陥り、’10年に会社更生法の適用を申請いたしました。ただ、’22年8月に亡くなられた稲盛和夫氏によりV字回復、’12年9月には再上場、ぐいぐいと業績を改善させていきました。もちろん先般のCOVID-19により旅行客は9割減となる大ダメージを受けながらも、貨物機ゼロの中、旅客機の効率運営により収入をカバーするといったwithコロナに柔軟に対応した技巧派な経営をしています。
もちろんこの再生は美談として語り継がれるものではあります。ただし、失ったものも多数あります。
まずは従業員です。希望退職が幾度と行われ1万人以上がJALを去ったと言われています。安定企業として、そしてみんなの憧れの職業でもある航空会社。子供の頃から夢見て就職した人、多くの努力をした結果JALに入社して働いていた人、JALに人生を捧げていた人。誇りをもってJALで働いていた人の悲しみはとても深いものだと思います。
また、地方路線の撤退もありました。インフラとしての役割を担っていたJALとしては、不採算であった地方路線の継続は地域貢献の一環としての役割でした。しかし、経営再生のもとでは路線の選り好みをしなければならず、地域貢献は失われてしましました。
その他、関連会社の売却や年金削減など様々な経費削減策により多くのJALの資産が失われました。
もちろんコンサルタントの立場からすれば、ムダの削減が一番の経営改善策だとは思います。ただ、私は、不要かもしれなくても少し贅沢なことでも、できるだけ会社の伝統や文化といった”ムダ”と言われるものをできるだけ後世に残せるような会社が良い会社だと思います。
こういった有名な事例でなくても最近は私的整理といった方法で多くの会社が再生支援を受けています。ただし、この方法の場合でも程度の差はあれ、従業員のリストラ、会社の祖業の土地や建物の売却、徹底した採算管理によるムダの根絶、最悪なケースだと責任をとるカタチでの社長の解任といったように、会社の文化や伝統を大きくそぎ落とすような方策を打たなければなりません。
このため、致命的になる前に、まさに人間の体と同様、早期発見が会社のためになるのです。